【ビジネス・経営・環境変化・教養に生きるAIの話】
ライター 半田孝輔
AIとのコミュニケーションで得られる気づき、暗闇を裂く一筋の光

さて、前回のコラムではまず身近なAIから触れてみようというお話をしました。私の場合、Googleのサービスを使ってあらゆる仕事をすることが多いため、「Gemini(ジェミニ)」というチャットAIを使い、アイデアの壁打ちやリサーチに活用しています。
ちまたでは「chatGPT」のほうが有名ですが、そちらは使わないの?という声が飛んできそうですね。
大多数がこぞって使うものよりも、あまり使われていないであろうものに触れてみるという私のあまのじゃくな性格ももちろんあります。しかし、ユーザーが相対的に少ないサービスに触れることで得られるインサイト(洞察)も豊富にあると考えています。
むしろ日常的に使うようになって思うのは、Googleのアカウントさえ持っていれば無料で利用できるGeminiでも十分に活用できます。
AIは会話すれば会話するほど学習が進んでいくもの。使い始めた当初は質問に対する回答の精度が求めていたものとズレていて落胆することがあっても、コミュニケーションをとるなかでユーザーもびっくりするような応答をすることがあります。
私の例を話しますね♪
この1ヶ月ほど、業務委託の選考で世界史上のある宗教についてまとめなさいという課題が出ました。まとめ方は自由。お題がざっくりとしており何から手をつけていいかわからない。とりあえず検索エンジンでテーマを入力すると膨大な話題がヒット。それに関するWikipediaをざっと見ても、そのテーマの広さに怖気づき、どこに主題をおけばいいか判断できず唖然としました。図書館へ行けば専門的な書籍もあり、詳しく学ぶこともできるでしょう。
しかし、そんな時間はない💦そこで活用したGemini💡

まず、「〇〇教会について教えてください」と簡単な質問をすると、その宗教の基礎知識と重要な項目を提示してくれました。その出力された情報をもとに疑問に感じたことをどんどん投げ込んでいきます。するとGeminiのほうも「お、こいつは本気でこれについて学びたいんだな。よし、もっと議論が深まりそうな話題を提供してあげよう」と思わぬ変化球が飛んでくる。それらを自分のなかでいったん落とし込んで、話題を絞りこみ、絞りこんだテーマを一気にネットや本で調べるという方法を取りました。本も目次を見て、該当しそうなところだけざっと読んだだけ。それでも、広範かつ選択・集中されたリサーチができたので情報量としては十分なものが得られました。
このように、チャットAIはリサーチ・レポート作業を効率良く行うのに適しています。目の前に有能なアドバイザーがいるかのようにして、アイデアの壁打ち相手にもなってくれます。ただ、「出力される情報は必ずしも100%正確であるとは限りません」とGemini自身が言うように、入力・学習するデータに偏りがあると、出力情報もそれを反映してしまいます。継続的な学習を行うことが偏りを少なくするコツのようですが、これは人間も一緒だと思いませんか。むしろ、AIとのコミュニケーションは、ユーザー自身の認知バイアスに気づくきっかけを与えるとも言えます。
ビジネスは常に環境変化の脅威に晒されています。AIとの会話が、経営判断に必要な直感や論理思考を鍛え、未来へのビジョンを描く一助になるのは間違いないと言えます。