AIの関係性が変わったあと、人間に残るものとは

AIの関係性が変わったあと、人間に残るものとは

2026.6.10

ライター 半田孝輔

指示を出すAI

なんとなく目にした深津貴之さんのnote記事に衝撃を受けました。OpenAI(ChatGPT)やAnthropic(Claude)はそれぞれ顧客企業のAI導入を支援する子会社を設立。AIエンジニアを企業へ派遣・常駐させることで、既存のシステムにAIを統合させ、中核から業務を改善させて顧客利益を最大化させるというのです。

(参照先:OpenAIリリースAnthropicリリース → Geminiに翻訳してもらいました。便利な世の中です)

システム開発やコンサルティングを担う企業が行っていたことを、開発・提供元であるAI企業自身で実行する。明らかに局面が変わったなという印象です。これまでは各社の「どのモデルが賢いか」という技術競争の側面が強かったのですが、今は「現場に実装し、いかに価値を生み出すか」という導入や運用における競争に入ったようです。

アル株式会社代表のけんすうさんも、深津さんの記事を参照しながらその動向に言及していました。お二人の予測を乱暴にまとめると、意思決定や構造設計など業務の根幹に関わる役割はAIに置き換えられ、人間は司令塔としてのAIから指示を受けて仕事をするようになるというものでした。そうなったときに人間にはどんな仕事が残るのか。残る仕事の意味合いを捉えきれているか。何を養い、どんなポジションを目指すべきか。それらのトピックが語られているので、詳細はぜひリンク先を読んでいただきたいと思います。

SFの世界が目の前に迫るどころか、すでに静かに到来してきた。そんな感想を持ちました。映画『エイリアン』で宇宙船の乗組員に指示を出すAI「マザーコンピュータ」や、アニメ『機動戦士ガンダム00』に登場する人類を変革へと導くためのデータベース「ヴェーダ」のような、人間がその存在を頼りにし、指示を仰ぎ、行動に移すための拠り所、ある種の上位存在とも言える立ち位置になるかもしれない。現在の人間とAIの主従関係が逆転する未来が数年でやってくる。

AIに管理される悲壮感漂うディストピアなのか、本当に大事なことに注力できるユートピアなのか、捉え方次第なところがありますが私たちの生活環境も一変しそうです。

すでに社内業務のほとんどをAIに任せるなど自動化を実現している企業も出てきました。複数のAIに名前と人格、役割を持たせ、バーチャルオフィスに設けた各部署に配置して個々のタスクを処理させる。各AIのあいだで盛んにコミュニケーションがとられることで業務が滞ることなく爆速で仕事が完了する。疲れたAIはちゃんと休憩し、回復すると業務に戻る。そんな「AI社員」で回る会社で人間のすることといえば、今のところ営業やミーティングといった対面仕事とAIの管理業務くらいとのこと。

このような企業は今のところ少数ですが、数年後にはだいぶ広がっていることでしょう。

人間に残るもの

人間には何が残ってくるのか。というよりも、人間は何をすればいいのか。

近未来では生成AIを使いこなせて、山村で自給自足の暮らしができる人が最強な気もします。テクノロジーの知識とフィジカルな知恵を併せ持つような人。

人が人であるための尊厳をかけた闘いがはじまっている。そんな言葉が浮かびました。あらゆることがAIに代替されても、自らが「生きている感じ」を味わいながら働き、一日一日を生きる。

それを可能とするものこそ「遊び」ではないか。金銭を介す消費的で享楽的なものではなく、子どものころのように身体を使って没頭していた遊び。何をつくりたいか、何が楽しいか、何を好きと感じられているか。その身体的な深掘り作業が何かヒントや活路になるのではと最近は感じています。

私自身はAIを含めた最新テクノロジーを真っ向から否定したくありません。AIの処理速度によって“ブルシットジョブ”が省かれ、何か本質的な部分が見えてくるのではないかという期待も持っています。また、仕事が代替されることで、キャリア形成と結びついていた「自己実現」の苦しみから解放されるかもしれませんし、仕事や肩書きに偏りすぎている現代人のアイデンティティを融解させていくかもしれません。

人間がテクノロジー(AI)に隷属することなく、人と自然とテクノロジーがバランス良く関係を維持できている均衡状態の未来にならないか。夢物語だとしてもそれが理想的だと思います。


■参考先■

・ビジネス+IT「OpenAIが企業向けAI導入支援の新会社を設立、40億ドル超を調達し実務への統合を加速

・深津貴之氏note「AI企業が「受託」を始めた日。エンジニア、PM、デザイナーはどうこの先生きのこるか

・けんすう氏note「「AIにできない仕事は残る」のは本当だけど、それはUber Eatsの配達員みたいな仕事になるかも

・山口周氏note「イノベーション実現の鍵は「移転」にある

・宮里賢史氏note「AI社員19人が自律的に働くばりぐっどカンパニーとそのオフィスのばりぐっどビルの全容!

・株式会社AX「人よりAI社員が多い!?ほぼ全てAI化した会社究極のオフィスツアー

コンヴィヴィアル・テクノロジー特設サイト

その他、Geminiとのセッションを通じて分析・収集