ライター 半田孝輔
2025年の今ごろは「AIエージェントが躍進する!」と話題になっていました。この1年間でさらにAIは進化してきて、それに驚くことすらなくなってきた気がします。次は何ができるようになるのだろうかというワクワク感と、興味関心や個人情報をさらに捧げていくのかという恐れ、それをわかりつつも止められなくなっている状態。AIを巡る個人的な感情は肯定・否定を含め、より複雑なものになってきました。もはや様々なサービスにAIが実装され、パーソナライズが加速されているなかで、AIを避けて生活するのは隠者にならない限り無理ではないでしょうか。
AIと完全に袂を分かつことが無理ならば、距離の取り方を体得したいところです。そう考えるのは、私の最近の体調が関わっています。
頭が疲れている状態=普通
私は書くことをはじめ、文字や音声など、あらゆるフィールドで言葉を紡ぐ仕事をしています。それは「技能」だけでなく自らの「思考」も売っているわけであり、自惚れた言い方が許されるならば、周囲の方より「考える」ことに力を注ぎ、時間を費やしています。頭をフル回転させている状態が、私にとっての通常モード。そんな状態で、情報収集と編集、執筆や話すことによる出力を行なっていますから、頭が疲れている状態が“普通”になっています。
そこへ福音をもたらすようにやってきた生成AI。目覚ましい進化のおかげで情報検索や収集は格段にやりやすくなりました。Geminiとサクサク会話をしたり、ほしい情報を見つけてもらったり。通常のブラウザ検索も駆使しながら、テーマに沿った記事や文献を多角的に読んできました。横断的に情報を閲覧できるようになったおかげで、帰納的に共通項を見つけることもでき、以前にはない洞察を得ることが可能となりました。

ただ、ここへ来て私の脳がついにオーバーヒートしました。いくら眠っても疲労が取れない、頭がモヤがかったようで集中できない、パソコンやスマホ画面を見るのが辛い、考えがまとまらず言葉が浮かばない。ああ、これがブレインフォグか、これが脳疲労というものか、と。職業病的なものでもあるため、年に数回この状態に陥るのですが、今回はしぶとく回復するまでに時間がかかっています。
それでも締切は待ってくれませんからパソコンを開くわけですが、情報収集まではできてもそれ以降は進まない。気分転換のためにYouTubeやSNSを開けば「アテンション」の嵐に辟易して余計に疲れてしまう(自分も仕事でリール動画をつくるため業が深い)。
そこで情報収集や考えを深めるためのアプローチを変えてみました。
「聴く」「聞く」

一つは「ポッドキャスト」の活用。音声コンテンツのため、目や頭が疲労しているときでも気軽に聞くことができます。集中とリラックスの切り替えがしやすく、気になった部分を聞き返すことができる点も私に合っていました。他人の話に耳を傾け、「聴く」と「聞く」のあわいを行き来しながら頭を働かせることができる。AIはホットな話題なのでどのチャンネルでも扱われています。ハウツーなら動画であるYouTube、考察を深めるにはポッドキャストが適しています。私は日常的にポッドキャストを聞いていますが、ここから本コラムのテーマを思いつくことも多々あります。
そして、アプローチ方法の二つ目は「読書」。アナログな情報媒体を活用しましょう。あくまで実感レベルですが、文脈を適切に読み解く力、言語化力を養うには読書に敵うものはありません。これ、本は文字や文章であるからこそ重要だと思っています。AIにプロンプトで指示をする際、われわれが使うのは言語(言葉)です。音声入力にしても文字入力にしても、その場に合った適切な指令を出すことが、出力に大きな影響を与えます。これはITエンジニア職の方だと腑に落ちる話ではないでしょうか。綺麗な論理構造を持ったコードの並びがあるからこそ、システムはストレスなくスムーズに動く。
アナログ活用
また、読書の利点は完全に一人になって没頭できる点にあります。パソコンやスマホは多くの情報が一挙に入ってきてしまうため、注意が散漫になりがちですし、Wi-Fiにつながっていると無駄な情報検索をしてしまいがち。さらに読書は時間がかかるからこそ、一点に集中して考えを深めることができる。
断っておくと、私はAIを否定するつもりはありません。ただ、私にとっての上手な付き合い方、良い距離の取り方としてアナログへ回帰する解に今回行きつきました。人によって異なると思います。あなたは、AIとの上手な付き合い方、距離の取り方を持っていますか。

■参考先■
【ポッドキャスト】
・デジタルと教育の庭「緒方壽人(前半) デジタルとコンヴィヴィアリティの実践」
・デジタルと教育の庭「緒方壽人(後半)永遠の他者であるべきAI、そのデザイン」
・超相対性理論「AI時代の思考力とは?/ゲスト:山野弘樹さん(その1〜4)」
・超相対性理論「哲学・思想は企業経営に役立つのか? /ゲスト:品川皓亮さん(その1〜4)」
・TAKRAM RADIO「Vol.247 文化人類学とデザインの重なり〜多元世界と変わり続ける私」
【書 籍】
・井上慎平「強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考」
・諏訪正樹「一人称研究の実践と理論」
【オンライン記事等】
・マナミナ「不自然なAI文章」の修正に疲弊?6割超が悩む“AI疲れ”の実態【CHOIX調べ】
・Forbes「AIが職場の情報過多を悪化させないための方法」
・Gigazine「人間の脳はマルチタスクに向いていない」
・現代ビジネス「たった「2.8秒」で集中力が低下、ミスは2倍に…科学的に明らかなマルチタスクの「恐るべき弊害」」
その他、Geminiとのセッションを通じて分析・収集

