生成AIが日常となった今、改めてAIを何に使うのか問う

生成AIが日常となった今、改めてAIを何に使うのか問う

2025.12.10

ライター 半田孝輔

【生成AIが浸透した2025年。あなたはどんな使い方をしましたか?】

早いもので2025年も12月中旬になろうとしています。皆さんはどんな年でしたか? 私自身も環境が目まぐるしく変化したりと濃厚な1年でございました。

それとともにテクノロジーの発展も著しい1年でした。とくにAI分野は日進月歩どころではない速度で進化を遂げてきたことは皆さんも実感していることと思います。チャットで高度な会話が成立することに喜んでいたのがまだ1〜2年ほど前なのに、すでに「懐かしさ」が込み上げるほど過去のことのように感じるのは私だけでしょうか。何かの叩き台や草稿を出力するだけでも、(情報元の確かさは脇に置いても)そのクオリティに私たちは驚嘆していました。しかし、それに加えて、図面や画像、動画に音楽など、高度かつ複雑な動作を行う作業においても、短時間でハイクオリティなものを出力してしまいます。

もっと5年は先だろうと思っていたことが1年以内、否、半年もかからず実現する世界線にいることを思い知らされます。だって、「生成AIを使いこなすための有効なプロンプトは〜」などハウツーがコンサルタントによって整理・提供されていた時期からそう遠くないのですよ⁉︎

Webを介したあらゆるサービスには生成AIが実装されてきました。もはや「AIを活用している」という意識さえもたずに、私たちはいろんなサービス、それに備わった機能を使い「こなして」しまっています。スマートフォンのアプリを何気なく立ち上げるように、何気なくSNSに投稿するように。

AIだから…よくわからないから…と躊躇することもない。それだけAIは一般化してきているとも市民権を得てきているとも言えるでしょう。11月19日にはGoogleのGemini3が発表され、一部では Googleが覇権をとったとも言われています。AI開発・プラットフォーマーの競争がより激しさを増していくでしょうし、AIの一般層への浸透も加速していくことでしょう。

【AIを使う主体は人間である】

我が宮崎県内においても、学校現場のAI活用が広がっているとの報道もあります。常態化している長時間労働の是正のため、書類作成などのデスクワークにかかる手間をAIによって減らすことが目的。負担を減らすことで、教師の本命仕事ともいえる生徒と向き合う時間にあてようという企てもあるようです。実際に現場ではどれだけ有効に活用されているかは分かりませんが、これはAIの正しい使い方の一例だと私は感じています。

私たちは、ある肩書きを持ちながらも、行う仕事が1つだけであることは稀です。大企業的な組織で分業が進んでいるところであれば、“それだけ”こなしていればOKということもあるでしょう。しかし、私たちは日々マルチタスクで働いています。中には「それは本当に必要な仕事なの?」というようなもの、人類学者であるデヴィッド・グレーバーの著書にある「ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)」のようなものまである。

本当に必要な仕事に時間と労力を集中する、という意味でAIが非常に有効であることは、普及するなかで散々叫ばれてきました。これは結局のところ、自分が就いている仕事は何を価値としているのか、仕事の宛先にいる相手・顧客に対して何を届けられるのか、相手にとって良いことは何かを問うことにもつながり、ひいては己の仕事とは何を為すことか、と自身を問い、選択と集中するものを洗い出すことでもあります。

先日とある案件で、マーケティングのセミナーへ足を運びました。そこで講師の方が強調されていたことが記憶に残っています。曰く「マーケティングとは、決して『誘導』することではない。ユーザーや顧客の情報検索行為を『アシスト』するものである」と。これを聞いたとき、私はAIもまったく同じではないかと直感しました。どれだけテクノロジーが発展しても使う主体は私たち人間です。人間がAIのための手段になってはならないのです。AIをはじめとしたテクノロジーを何のために使うのか、使うことに誰が喜んでくれるのか、その視点だけは忘れずにいたいですね。


■参考先■

・宮崎日日新聞LINE「学校現場でのAI活用 じわり広がる 教育の質の向上へ宮崎県教委も本腰

・ Google「エンタープライズ向け Gemini 3 を公開

・山口周氏note「AI時代に求められる「五感の感度」

・中山高史氏note

「Gemini 3.0の衝撃,OpenAIの戦略転換 -[性能競争]から[インフラ独占]へ」前編後編

「AIすごい」の熱狂と現場の「諦め」- 2026年に向け,今知っておくべきこと

・WIRED「AI時代の“道具の哲学”──単なる道具など存在しない|テクノロジーの哲学マップから考える〈技術哲学入門〉」・深津貴之氏note「経営をあまやかさないAIを作ろう

その他、Geminiとのセッションを通じて分析・収集